こんにちは。自閉症のJ君(高校1年生)の父です。
先日、J君と親子で歯医者に行ってきました。虫歯のチェックと歯のクリーニングです。
結果は——いつも通り、虫歯ゼロ。
歯科衛生士さんにはこう言われました。
「毎日どなたが仕上げ磨きをされているんですか?とてもきれいに磨けています。J君は賢く全然動かないので、早く終わりますよ」
少し、誇らしかったです。
でも、ここに来るまでの道のりは、まったく平坦ではありませんでした。今まさに「歯医者に連れて行けない」「歯磨きをさせてくれない」と悩んでいる親御さんに向けて、我が家の16年を正直に書きます。
走行中の自転車から、飛び降りて逃げた
小さい頃のJ君は、歯磨きをさせてくれませんでした。口の中を触られる感覚過敏もあったのだと思います。結果、虫歯だらけ。そして歯医者が大嫌いでした。
どれくらい嫌いだったか。
自転車の後ろに乗せて歯医者に向かっていたとき、行き先が歯医者だとわかった瞬間、J君は走行中にもかかわらず飛び降りて逃げました。
診察室では、ずっと押さえつけていないと治療できませんでした。押さえる親も、押さえられる本人も、みんなつらい。「この子は一生、歯医者に通えないんじゃないか」と本気で思っていました。
転機①:「毎日の仕上げ磨き」の習慣化

劇的な特効薬はありませんでした。変えたのは、たったひとつ。
毎日の歯磨きと、両親どちらかによる仕上げ磨きを、絶対に欠かさないこと。
嫌がる日もありました。それでも「毎日同じ時間に、同じ流れで」を続けました。J君にとって「歯磨きは毎日のルーティンの一部」になるまで。
感覚過敏との付き合い方や当時の細かい工夫は、こちらの記事に書いています。
▶ 自閉症J君の歯磨き事情|感覚過敏を乗り越えた歯磨きの工夫
転機②:「今の歯医者さん」との出会い
正直に言うと、家庭の努力だけではここまで来られなかったと思います。もうひとつの大きな転機は、今通っている歯医者さんに変えたことでした。
とても親切で、J君のペースを尊重してくれる。急かさない、無理に押さえない、できたことを認めてくれる。「歯医者=怖い場所」だったJ君の記憶が、「いつもの、大丈夫な場所」に少しずつ上書きされていきました。
障害のある子の歯医者選びで、我が家が実感したポイントは:
- 本人のペースに合わせてくれるか(初回は診察台に座るだけでもOK、という姿勢か)
- 同じ先生・同じ流れで診てもらえるか(「いつも通り」が安心につながる)
- 親の話を聞いてくれるか(特性や苦手を事前に共有できるか)
合わない歯医者で無理を続けるより、子どもに合う歯医者を探すのも、立派な対策のひとつです。
今のJ君:診察も、待ち時間も
そして今日。J君は診察台で全然動かず、クリーニングはあっという間に終了。
さらに驚くのは、私が診てもらっている間、待合室で約45分、ひとりでじっと待っていられたこと。小さい頃の姿からは想像もできません。
歯医者までの道のりも完全に覚えていて、自信満々にどんどん先を歩いていきます。散髪のときと同じで、「いつもの道」「いつもの場所」がJ君の安心と自立を育ててくれています。
▶ 散髪でも同じ成長がありました:自閉症の息子と散髪|「いつもの道」「いつものお店」が育てるJ君の自立
同じ悩みの中にいる親御さんへ
かつての我が家と同じように、「歯磨きを全力で拒否される」「歯医者で押さえつけるしかない」という時期の方へ。我が家の実感を4つだけ。
- 「今できない」は「一生できない」ではない——飛び降りて逃げた子が、45分待てるようになりました
- 特効薬より毎日の同じ流れ——ルーティンになれば、歯磨きは戦いではなくなります
- 歯医者は変えていい——合う先生との出会いが、子どもの記憶を上書きしてくれます
- 仕上げ磨きは親の投資——虫歯ゼロは、治療の苦痛と通院の負担を丸ごと減らしてくれます
まとめ
- 小さい頃:歯磨き拒否・虫歯だらけ・歯医者から逃走
- 続けたこと:毎日の歯磨き+親の仕上げ磨き、そして合う歯医者さんとの出会い
- 今:虫歯ゼロ・診察で動かない・待合室で45分待てる
16年かかりました。でも、ちゃんとここまで来られました。

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