こんにちは。自閉症のJ君(特別支援学校 高等部1年)の父です。
今日は、我が家の小さな記念日になりました。
神戸常盤アリーナで開かれた第19回スペシャルオリンピックス兵庫 競泳競技会。J君が出場しました。
そして——これまでにない出来事が起きました。

45秒台が、25秒台になった
先に数字を書きます。
25m自由形。これまでのJ君は、なんとか泳ぎ切って45秒台でした。
今日のタイムは——25.01秒。
ほぼ半分です。
そしてもう一種目、15mアシスト付き自由形は18.72秒。
でも、この記事で本当に書きたいのはタイムではありません。
一度も、足をつけなかった
J君は両種目とも、一度も途中で足をつけませんでした。
これがどれだけのことか。同じ悩みを持つ方なら、分かってもらえると思います。
J君は長いあいだ、泳いでいる途中で立ってしまう子でした。足が届く場所で、つい下ろしてしまう。それが何年も続きました。
▶ 25mの大会で50m泳いだ息子|西宮市福祉センター杯に参加しました
つい2週間前の記事にも書いたばかりです。「自由形だと途中で立ってしまうから、背泳ぎを練習している」と。
その課題が、今日、完全になくなっていました。
アシストのコーチを、置き去りにして
もうひとつ、忘れられない場面があります。
15mアシスト付き——これは、コーチが横について泳ぐ種目です。
J君はそのコーチを置き去りにして、一人で泳ぎ切りました。
アシストが、追いつけなかった。
急に覚醒したみたいに
正直に書きます。何が起きたのか、私にも分かりません。
1ヶ月ほど前から、急に途中で立たなくなりました。
そして今日、急に速くなった。
きっかけらしいきっかけは思い当たりません。特別な練習をしたわけでも、新しい指導を受けたわけでもない。
急に覚醒したみたい、としか言いようがない。
私たち夫婦はもちろん、コーチ陣も、他の保護者の方々も、みんな驚いていました。
競技後、J君は褒められまくっていました。本人もすっかりご機嫌。
0.17秒差の銀メダル
結果も書いておきます。
15mアシスト付き自由形:1位(金メダル)
25m自由形:2位(銀メダル)
25mは壮絶なデッドヒートでした。1位の子との差は——0.17秒。
金と銀、両方を持って帰った日になりました。
小学生のときから、毎年出ています
J君がスペシャルオリンピックスに入会したのは、小学生のときでした。
そこから毎年、この大会に出続けています。
▶ 【スペシャルオリンピックス水泳2025】J君の挑戦と笑顔|尼崎スポーツの森 室内25mプール拠点
▶ 発達障害の息子の水泳記録|スペシャルオリンピックス9年目の成長
スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人のスポーツ活動を支援する国際的な組織です。
競技レベルに応じてビギナークラスとマスタークラスに分かれていて、J君は今回もビギナークラスで参加しました。
勝つことが目的の大会ではありません。それぞれが自分の力を出し切る場所です。
だからこそ——自分の記録を半分にした今日は、特別でした。
バタ足ができなかった頃を思い出しています
水泳を始めて、10年強。
思い返せば、長い道のりでした。
バタ足ができずに悩んだ時期がありました。足が動かない。リズムが取れない。何度教えても、うまくいかない。
途中で立つことをやめられなかった時期がありました。プールの真ん中で、すっと立ち上がってしまう。何度伝えても、また立つ。
「この子は、本当に泳げるようになるんだろうか」
正直、そう思った日もあります。
でも——今日、本当に泳げるようになったと実感しました。
▶ 自閉症の息子が「できるようになったこと」全記録|16年間の成長リスト【随時更新】
10年続けたから、今日があった
言葉にすると当たり前のことですが、書いておきます。
10年、やめなかったから今日があります。
毎週プールへ通って、なかなか上達しなくて、それでも通い続けて。
いつか泳げる日が来ると信じてきました。
でも——正直に書きます。
その日は来ないかもしれない、とも思っていました。
信じることと、諦めかけることは、両立します。親をやっていると、そういう日が何年も続く。
それでも通い続けた10年が、今日ここにつながりました。
積み上げは、見えないところで進んでいる。
そして、あるとき突然、形になる。
今日それを、目の前で見ました。
記念日は、げんこつラーメンで
余韻に浸りながら、今日はJ君の大好きなげんこつラーメンへ行くことにしました。
注文はいつも通り、半ラーメン+半チャーハンのセット。
J君の定番です。他のメニューは選びません。
終始ニコニコで、ゆっくり、おいしそうに完食していました。
金メダルと銀メダルを持って、いつものラーメンを食べる。
うちの記念日は、こういう形です。
まとめ
- 第19回スペシャルオリンピックス兵庫 競泳競技会に出場(神戸常盤アリーナ)
- 15mアシスト付き自由形:18.72秒 1位(金)
- 25m自由形:25.01秒 2位(銀)——1位との差は0.17秒
- 両種目とも、一度も足をつけずに完泳
- これまで45秒台だった25mが、25秒台に
- 15mではアシストのコーチを置き去りにして泳ぎ切った
- 水泳を始めて10年強。バタ足ができない時期も、立ってしまう時期もあった
- そして今日、本当に泳げるようになった
「まだできない」の中にいる方へ。
信じきれない日があっても大丈夫です。私もそうでした。
それでも続けていれば——ある日、突然その瞬間が来ます。
うちは、10年かかりました。

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