こんにちは。自閉症のJ君(特別支援学校 高等部1年)の父です。
進路のことを調べていて、まったく別の不安にぶつかりました。
J君が大人になったとき、お金の管理はどうなるのか。
考えたことがありませんでした。そして調べてみて、自分が想像していたより手前に、リスクがあると知りました。
▶ 支援学校の進路、親はいつから動けばいい?高等部1年の父が調べたこと
「親なきあと」の手前にある問題
障害のある子を育てていると、「親なきあと」という言葉に何度も出会います。
私も、自分が死んだあとのことを漠然と心配していました。
でも調べて分かったのは、その手前に段階があるということです。
親が認知症になった時点で、財産が凍結される可能性がある。
金融機関が「本人の判断能力が低下している」と判断すると、口座からお金が動かせなくなります。
つまり——親が生きているうちに、子への経済的支援が止まることがある。
「亡くなったあと」ではなく、「元気でなくなったとき」。ここに備えがないことに、初めて気づきました。
そしてもう一つ:渡し方の問題
仮に財産を残せたとしても、次の問題があります。
J君は、まとまったお金を渡されて、自分で管理できるでしょうか。
答えは——難しいと思います。
計画的に使うことも、必要なときに引き出すことも、誰かに騙されないように守ることも、今のJ君には難しい。
「残す」だけでは足りない。「管理する仕組み」が要る。
そういうことでした。
選択肢は大きく2つある
調べた範囲で、財産を管理する仕組みは主に2つでした。
① 成年後見制度
判断能力が不十分な人に代わって、後見人が財産を管理する制度です。
できること
- 本人が不利な契約をしてしまっても、取り消せる(取消権)
- 財産管理だけでなく、身上保護もできる
- 家庭裁判所が関与するので、公的な保護がある
知っておくべき点
- 後見人への報酬が、月2〜6万円かかることがある(財産額による)
- しかもそれが本人が亡くなるまで続く。10年なら数百万円になる計算
- 一度始めると、家族の都合では止められない
- 家族が希望しても、弁護士や司法書士が選任されることが多い
② 家族信託
信頼できる家族に財産の管理を託す契約です。
できること
- 受託者が家族なら、報酬を無報酬にできる
- 財産管理を柔軟に設計できる
- 家庭裁判所や第三者の関与がない
知っておくべき点
- すでに判断能力が失われていると、契約できない(元気なうちにしか結べない)
- 取消権がない——本人が不利な契約をしても取り消せない
- 託せる家族がいることが前提
- 契約書の作成に専門家の費用がかかる
併用もできる
調べていて分かったのは、この2つは併用できるということ。
「財産管理は家族信託、身上保護は後見制度」という組み合わせが、互いを補うそうです。
「取消権がない」ということの意味
家族信託を調べていて、一番引っかかったのがここでした。
成年後見にあって、家族信託にないもの。それが取消権です。
本人が不必要な契約や、詐欺的な契約を結んでしまったとき、後から無効にできる——これは成年後見にしかできません。
J君は、言葉での意思表示が少ない子です。でも将来、誰かに何かを勧められて、うなずいてしまうことがあるかもしれない。
そのとき取り消せるかどうかは、大きな違いだと感じました。
一方で、成年後見は費用が続きます。どちらが正しいという話ではなく、何を優先するかなのだと思います。
我が家はまだ、何も決めていません
正直に書きます。
我が家は、この備えについてまだ何も手続きをしていません。
今回調べて、選択肢があることを知った段階です。
そして焦ってはいません。J君はまだ高校1年生。私も妻も元気です。
大事なのは、今すぐ契約することではなく、選択肢を知っておくことだと思っています。
- どんな制度があるか
- それぞれ何ができて、何ができないか
- 元気なうちにしかできないことは何か
- 誰に相談すればいいか
知らないまま歳を重ねるのが、一番こわい。
相談先について
家族信託の相談は、司法書士や専門の相談窓口で受け付けているところがあります。無料相談を実施しているところも多いようです。
「まだ契約するつもりはないけれど、話だけ聞いてみたい」——そんな段階でも、相談する価値はあると思っています。
そして成年後見制度や地域の福祉サービスについては、市区町村の障害福祉窓口や基幹相談支援センターでも相談できます。こちらは無料です。
▶ 受給者証がないと、B型にも通えない|取り方と、いつ動くべきかを調べた
まとめ
- 「親なきあと」の手前に、「親が認知症になったとき」の段階がある
- 親の判断能力が低下すると財産が凍結され、子への支援が止まることがある
- 財産を残すだけでなく、管理する仕組みが必要
- 成年後見制度は取消権があるが、報酬が月2〜6万円続くことがある
- 家族信託は無報酬にできるが、取消権がなく、判断能力があるうちにしか契約できない
- 併用も可能
- 我が家はまだ何も決めていない。でも選択肢は知っておきたい
同じことを考え始めた方が、たくさんいると思います。一緒に考えていけたら嬉しいです。
※本記事は2026年9月時点で調べた内容です。制度の詳細や費用は個々の状況により異なります。実際の判断は、司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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